共同実施が描く夢 ~実態なき会議のロンドと実務の欠損~
いささか機を逸したが、「学校事務」2018年3月号掲載「新潟県学校事務共同実施のこれから ~学校事務は夢を描ける仕事ですか」猪又久美子(新潟県五泉市立五泉中学校総括事務主幹)論文を扱いたい。
新潟県の学校事務共同実施といえば、宮崎などの先進県で様々な問題が生じ共同実施が劣勢になるなか、近年新たな「モデル」として中教審でも絶賛されている地区である。
ただし、新潟県の学校事務職員・阿久津充氏が文科省の担当部署に出向し、自身の意義を高く訴えただけ、との見方もある。
それはともかく、猪又久美子論文である。論文では新潟県における取り組みと進展が丁寧に述べられている。
内容への賛否抜きに、制度的なことが他県の者にもわかるよう記されているのはたいへんありがたく、敬意を表したい。
しかし、内容は学校事務職員にとって悲惨なものだ。
そもそも入口が不適切財務とのこと。
まず、その内容が書かれてないのが読者に役に立たない。不適切事例を共有化しない業界誌って、意味ない。というか、それ単なる隠蔽でしかない。これじゃ猪又久美子さんあなたもやったのかやってないのかわからない。
その上で、それに対し「財務改善プラン」をまとめ、その取組を推進することを通して不適切財務の是正策推進に共同実施が関わった!と称賛している。
ほほぅ、共同実施がなかったからなお不適切財務があった、かのようである。新潟県の学校事務職員はひとりにすると不適切財務をやるような方ばかりなのか?
そんなはずはなかろう。
「学校事務委員会」なるものの学校設置運動も紹介された。
たいそうな名前で結構だが、内容は別会議を構成するものではない。校長のもと、職員会議の一角として扱われれば良いもの、扱われてしかるべきもの、でしかない。
ただ新たな会議を立てて、自分をホストにしたいだけにしか見えない。
そして文末、「「財務改善プラン」を基に、ある事務職員の一日の姿を描いてみ」られている。これが壊滅的だ。
午前中には学校事務委員会が行われ「活発な協議の結果、具体策がまとまり」「会議終了」。で、午後は「グループ長校で共同実施です」。
これを評して、「マネジメントに関わる時間が増えて学校経営に参画しているという手ごたえ」。
〆「結論、学校事務は夢を描ける仕事です」
ん?事務仕事してる…?
まとまった具体策はどうするの…? 誰がやるの…?